HAPPY VOICE & SMILE LABORATORY / SOCIAL CARE
社会的養護とは。
子どもの暮らしと
声から学ぶ。
家族だけでは養育を支えきれないとき、誰が、何を担うのか。制度の名前から一歩進んで、子どもの安心・関係・参加を軸に考えるためのページです。

公的な責任で、養育と家庭を支える
社会的養護とは、保護者のいない子どもや、保護者による監護が適当でない子どもを、公的責任のもとで社会的に養育・保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭を支えることです。
こども家庭庁の「社会的養護」の定義を、一般の方に向けて言い換えています。
「親に代わって子どもを育てること」だけに限られません。子どもの保護と養育に加え、家庭への支援も含む公的な仕組みです。必要な支援の内容は、子どもの状況や家族との関係によって異なります。
子どもと家庭を責めるための言葉ではなく、社会として責任を引き受け、暮らしを支えるための言葉として捉えます。
養育を「誰が、どう担うか」から考える
第2回授業教材では、養育の担い方と、実践・制度を捉える用語を分けて整理しています。次の4語は、互いに排他的な制度区分でも、単純な入れ子構造でもありません。
私的養育
家族などが担う日々の養育。公的な支援と無関係という意味ではありません。
社会的養育
社会が養育を支え、分担することを捉える視点。社会的養護と同じ範囲の言葉としては扱いません。
児童養護
子どもの暮らしを支える実践を捉える言葉。授業では、その実践の蓄積と制度化を歴史的に考えます。
社会的養護
公的責任・制度に基づく養育と支援。制度化は、施設入所だけを意味するものではありません。
養育を支える「3S」
同じ過程の3段階ではなく、養育を担う関係の違いを考えるための概念整理です。
支援SUPPORT
家族などによる養育が続くなかで、相談・給付・通所等により側面から支える見方です。養育を担う時間を、社会が代わる説明とは分けて考えます。
補完SUPPLEMENT
私的養育と社会的養育が、養育を担う時間帯を分担する見方です。教材では「私的養育 → 社会的養育 → 私的養育」の関係として示しています。
代替SUBSTITUTE
社会的養育が継続的な養育を担う見方です。家族などとの協働は、それと区別して考えます。「協働」は追加の概念であり、4つ目のSでも、代替の訳でもありません。
3Sの概念整理:伊藤龍仁(2017)「社会的養護の基本原理とその現状」、『みらい×子どもの福祉ブックス 社会的養護』。2026年度第2回教材をもとに文章で再構成。この比較は概念の説明であり、実際の利用時間・割合・条件を示すものではありません。2017年版の書誌情報
考えるための問い
家族だけでは支えきれないとき、誰が何を担えるでしょうか。そして、支援する側の見立てだけでなく、子ども本人に何を確かめたいでしょうか。
「家庭養護」と「家庭的養護」を分けて理解する
家庭養護|養育の形態
里親やファミリーホームなど、養育者の家庭で子どもを養育する形態です。施設養護とともに、社会的養護を担います。
家庭的養護|環境・関わりの理念
家庭的な環境のもとで、一人ひとりに応じた養育を目指す理念です。家庭養護と同義ではなく、施設においても家庭的な環境と個別化が求められます。
制度化=施設化、ではありません。
制度は、子どもを支える責任や仕組みを定めるものです。どの養育形態が適切かは、形態の名前だけで決めず、子どもの状況・意見・関係の継続性等を踏まえて検討します。
出典:こども家庭庁「社会的養護の課題と将来像・運営指針等の概要」、第2回授業教材。
2つの基本理念と、6つの原理
子どもの最善の利益
子どもに関わる判断では、その子どもの最善の利益を主として考慮します。大人の都合や一般論で決めず、本人の意見と状況を踏まえて検討し、理由を説明することが重要です。
社会全体で子どもを育む
養育を家庭だけの責任にせず、地域、専門職、関係機関、制度が支え合います。養育者自身への支援も、子どもの暮らしを支えるための大切な課題です。
6つの原理は、上から順番に完了する手順ではありません。目の前の支援を、重ね合わせて振り返るための視点です。
家庭的養護と個別化
同じ日課や環境でも、安心できる条件は一人ひとり違います。その子らしい生活をどう支えられるでしょうか。
発達の保障と自立支援
育ちと学びを支え、必要なときに人を頼れる関係も育む。「一人でできる」以外に、自立を支えるものは何でしょうか。
回復を目指した支援
傷つきや喪失の経験に配慮し、安心と信頼を積み重ねます。支援する側のペースで回復を急がせていないでしょうか。
家族との連携協働
家族との関係を、子どもの気持ちと安全の両方から考えます。「会いたい」と「不安」が共にあるとき、何を確かめられるでしょうか。
継続的支援と連携アプローチ
担当者や暮らす場所が変わっても、支えを途切れさせない。本人の了解や情報の取扱いに配慮して、どう引き継ぐでしょうか。
ライフサイクルを見通した支援
現在の暮らしと、その先の生活をつなげて考えます。退所後も相談できる相手や場所を、どう一緒に確かめるでしょうか。
理念・原理の名称:こども家庭庁運営指針等の概要(「社会的養護の基本理念と原理」)。最善の利益の表現:児童の権利に関する条約第3条。問いは第2回教材をもとに編集しています。
「子どものため」を、本人にも説明できる支援へ
子どもの意見を聴くことは、大人の決定を追認してもらうことではありません。分かる説明や選択肢を用意し、本人が意見をつくり、表し、意思決定に参加できるよう支えます。
条約第12条は、意見を形成する能力のある子どもの自由な意見表明と、その年齢・成熟度に応じた意見の考慮を定めています。希望を全てそのまま実現するという意味ではありません。何を検討し、どう反映し、なぜその結論になったかを伝えることも大切です。
児童の権利に関する条約第12条。詳しくは子どもの権利擁護へ。
聴き方を一つにしない
話す、書く、描く、今は話さない。伝える方法・相手・タイミングを選べるようにし、大人の解釈と本人が表したことを分けて受け止めます。
観察を、決めつけにしない
笑顔や発声などの観察は、気持ちを断定する根拠にはなりません。HVSIも幸福を判定する尺度ではなく、本人への確認と支援の振り返りを支える補助的な視点です。
架空の場面から考える
小学生のKさんは「家族に会いたい」と話す一方、不安も感じています。面会を一律に進める、または関係を一律に断つのではなく、どんなことが不安か、誰と・どこで・どのような条件なら安心できるかを本人に確かめ、関係機関と検討します。
これは第2回教材をもとにした架空の事例です。個別ケースへの判断や助言ではありません。
解説から、暮らし・授業・研究へ
制度を知ることと、日々の養育を考えること。その往復を支える、4つの入口です。
暮らしの実践
ファミリーホームの説明と、マギカルが大切にする日々の関わりを読む。
ファミリーホーム✡マギカル →授業で学ぶ
2026年度「社会的養護」。第2回「社会的養護とは何か・基本理念と原理」の紹介へ。
第2回授業コーナー →資料を読み進める
家庭養護の定義、養育者を支える仕組み、基礎を学ぶテキスト。選んだ業績から学ぶ。
研究・実践・教育の歩み →人と背景を知る
研究者・実践者・著作者としての研究室長の紹介と、研究室が目指すこと。
研究室長紹介 →本ページは2026年度第2回のレジュメ・PowerPoint(テーマ修正版)をもとに編集しています。授業資料全体や学生向け内部情報は掲載していません。授業の開催実績とは区別しています。
よくある疑問
社会的養護は、施設で育てることだけですか?
いいえ。里親やファミリーホームによる家庭養護、施設養護などの形態があり、養育に大きな困難を抱える家庭への支援も含みます。制度化と施設化は同じ意味ではありません。
家庭養護と家庭的養護は、同じですか?
本ページでは分けて扱います。家庭養護は養育者の家庭で養育する形態、家庭的養護は家庭的な環境と個別的な養育を目指す理念です。後者は施設にも関わります。
最善の利益を考えるなら、子どもの意見を聴かなくてもよいですか?
いいえ。大人の判断だけで「子どものため」と決めず、子どもの意見と状況を踏まえて検討します。条約第3条の最善の利益と、第12条の意見表明・意見の考慮は、共に押さえる必要があります。
18歳になったら、支援は必ず終わりますか?
年齢だけで一律に全ての支援が終わるとは限りません。退所後の相談や自立に向けた支援などもあります。ただし、対象や要件は制度によって異なります。こども家庭庁の支援に関するガイドラインを参照し、個別の利用条件は担当機関に確認してください。
このページだけで、個別の養育方針を決めてよいですか?
このページは基礎を学び、支援を振り返るための一般解説です。個別の養育・面会・委託等の判断は、子ども本人の意見と状況を確かめ、児童相談所等の関係機関・専門職と検討してください。
